DXがうまくいかない理由
DXのプロジェクトが計画通り進み、思うような成果につながった。
売上も利益も上がり、社員も早く帰れるようになって社内に笑顔が絶えなくなった。
こういった成功事例が全く無いわけではありません。DX関連の書籍には成功事例として書かれており、嘘ではありません。
ただし本の一握りの成功で、DXの影響がどれほどあったかや、たまたまいろんな複数の因果が重なり合って成功した「たまたま」と観ることもできます。
DXがうまくいかない理由を2つ。前編後編に分けてお届けします。
前編 : 検証していない・検証が感覚・成功に近づける努力が無い
後編 : 意識の浸透教育ができていない
検証していない・検証が感覚・成功に近づける努力が無い
会議のDXに取り組んだクライアント企業の例をお話します。以前は場当たり的な会議しか行われず、会議は議論をして満足。一応決まったことが実行されたか検証されることもなく、会議の時間が無断に長くなったり、時間通りに集まらないなど散々たる状況でした。
会議のDXツールを導入したことで、「事前に議題を準備する」という意識が芽生え、会議中も議題に沿って行うことで、以前に比べると建設的な会議ができるようになりました。
決定事項をメモ、リマインドツールと連携する機能もあるため、会議で決まったアクションプランの実行について可視化することができました。
上記文章だけ切り取り、弊社のDX成功事例として書籍に書いたら「成功事例」と観る読者は多いと思います。
ところが実際は、
- 活用している社員が3割程度であった
- 議事録を分析して課題のキャッチアップや事業の改善に活用までは至れていない
- 議題の事前の準備と会議中のメモ、アクションプラン程度であればクラウドのメモ帳(Googleドキュメント等)でも充分ではないか
という課題がありました。
ツールの提供元企業から、導入後の活用状況ヒアリングのMTGの依頼がありましたが、クライント企業のDX担当者は多忙のためメールをスルーしていました。
ツールの提供元企業がなかなか上手だったのが、アンケートに答えてくれたらギフトカードを進呈というメールを担当者宛ではなく会社全体のMLに送って、それを見た別の上司から担当者に声がかかり、担当者は渋々アンケートという名のMTGに参加することになりました。
「更新はしない旨を伝えよう」と思っていたDX担当者でしたが、ツールの導入から活用状況をツールの提供元企業に説明している時にふと気付きました。
「事前に議題を準備するようになった」「議題を見ながら会議をすることで会議が建設的になった」
3割程度しか使っていないとは言え、更新の見積書の金額に目を落とした時に月額数千円のコストだったことを冷静に客観的に見ると充分及第点にはあったことに気がついたのです。
今及第点なら、使っていない人たちにも浸透のための努力をして活用していけば、このツールの導入は成功と言えるのでは?と気付くことができました。
このように、成功・失敗の定義を感覚で行ったり、しっかりと検証を行わないから成功も失敗も本当の白黒は付けられていないというケースが多いと私たちは感じています。
良かった点と課題を抽出し、第三者(ツールの提供企業やコンサルタントなど)と対話を重ね、思考を整理していくことが重要なのではないしょうか。
以上の点から、成功も失敗もそもそも正しい検証が出来ていないケースが多いのではないかというのが弊社の見解です。